あるHSS型HSP女性の人生

自分の気質を知らず子供の頃から生きづらかった日々を綴ります。

笑顔でシンデレラをイジメた女の子


ここまで幼い頃の辛い思い出ばかりを綴ってきたが、
HSS型HSPならではのアクティブな一面が
よくあらわれていた思い出がある。

私は父の転勤の都合で、
幼稚園を4回転園している。
その中のひとつが
カトリック系の幼稚園で、
クリスマス会は盛大な行事だった。

みんなで頭にお星様の飾りをつけて踊ったり、
お芝居の舞台もやった。

私の入っていたクラスでは、
『シンデレラ』をやることになり、
私は、シンデレラの継母役をやることになった。
背が高かったから、大人の役が良い、
という起用理由だったらしい。

私はすごく嬉しかった。
本番まで稽古を重ねたのだが、
とても張り切って取り組んだ。

ところが、私は嬉し過ぎて、
シンデレラをこき使う意地悪な継母のシーンなのに
ずっとニコニコ笑っていた。

先生は私に
「はづきちゃん、『ママハハ』は
 シンデレラに厳しく怖い顔をしていないと
 いけないの」
と何度も言い聞かせた。
シンデレラに怖い顔で掃除を言いつける
継母の絵を見せながら、話してくれたのを
よく覚えている。
絵本ではなく、文章が多い本で、
白黒のデッサンのような1ページが今も記憶にある。

それなのに、
どうしても「お芝居」になると
嬉しくて笑ってしまう。
「はづきちゃん、笑っちゃダメよ」
先生に何度も言われながら、
クリスマス会の本番となった。

私は、手芸が好きだった母の編んだ赤いケープを着て、
シンデレラの継母として舞台に登場した。

たくさんの人が見ている中で、
私は張り切って舞台に登場すると、
シンデレラ役の女の子を後ろに従えて、
「シンデレラに家事を指図する」シーンを
舞台の端から端まであちこちを指差しながら
満面の笑顔で走り回った。

のちに母が言うには、
舞台の端から
「はづきちゃん、お口閉じて、お口!」
と言う先生の声が響いていたらしい。

私も先生の声は耳に入っていたが、
舞台に出る嬉しさが抑えられず
ずっと笑い通していた。

おかげで、心底嬉しそうに笑いながら
シンデレラに家事を言いつける継母、という
すごいシーンになってしまった。

その後も、舞踏会のシーンでは、
一緒に踊る女の子と
「ここは2人で一緒にターンしよう!」
なんて決めてダンスシーンを楽しんだり、
のびのびと人生初めての舞台を満喫した。

シンデレラが王子様に見初められようが、
ガラスの靴がシンデレラの足に合おうが、
継母の娘がお妃様になれなかった結果になろうが、
同じ舞台のシーンは
全然見てもいなかった。

最初から最後まで
ずっとニコニコ嬉しそうに笑っている、
という「シンデレラ」というお話の流れを
全く無視した継母だった。
だが、私にとっては心から楽しかった出来事として
思い出に残ることとなった。

のちに中学校に入る時に
部活動に「演劇部」の文字を見つけて
胸がトキめくことになるこの女の子は、
元々こういうことが好きだったんだなぁ、と
改めて思う。

その人物の気持ちになりきって表現する、
という演技センスは全然備わってなかったようだが…
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